トレイルランニングの始め方〜最低限知っておきたい知識とマナー〜

『トレイルランニングを始めたい』・・でもどうやって始めたらいいのかわからない、そんな悩みを持つ方は意外と少なくないです。シンプルに始められる人もいれば、『山をナメるな』という言葉で思い切って始められない方もいます。この記事を読むことによって、トレイルランニングを始める上で、最低限知っておくべき知識を得ることができ、『どうやって始めたら・・』というハードルが著しく下がることと思います。

トレイルランニング(トレラン)の知識

まずは知識が大事。私は10年以上前に始めましたが、当時はあまり道具も情報も大会も少なく、みんな手探りで始めていたように思えます。最低限の知識があれば苦労や必要のない挫折感を味わうこともなかったため、共有できればと思います。

トレイルランニング(トレラン)とは

トレイルとは舗装されていない道のことを言います。アスファルトで舗装された道以外のことを基本的にトレイルと呼びますので、公園の林道や山の登山道、砂浜や砂利、砂漠や雪道などもトレイルになります。
一般的に多くの方がイメージするのは登山道や林道のことを指しますので、トレイルランニングは基本的には山を走るという認識で問題ないです。

また、少し難しい話になっていますので、読み飛ばしていただいても構いません。トレイルランニング(トレイルラン、トレランと呼ばれることもあります)を競技の面で捉えると、大きく分けて一般財団法人日本トレイルランニング協会(トレランJAPAN)と、一般社団法人日本スカイランニング協会(JSA)の2種類があります。

日本ではまだスポーツとして新しい分野であるため、マラソンなどのように一律で基準がなかった『トレイルランニング』『マウンテンランニング』という種目を、国際陸連の方(日本トレイルランニング協会)が定義し、JSAの方が山岳スポーツとしてのトレイルランニングを国際スカイランニング連盟(ISF)の基準に合わせて普及しています。

名前は似ていますが、それぞれ定義があります。ちょっと難しいのでここでは割愛させていただきます。

トレイルランニングの魅力とは

トレイルランニングの魅力とは、いろんな感じ方があると思いますが、私は以下のポイントにあると思います。

1、自然を味わい非日常の世界へ身を委ねられる

 トレイルランニングは、もちろん家の周りのちょっとしたトレイルでもできます。しかしながらトレイルランニングの醍醐味はなんと言っても大自然の中で行うこと。毎回は難しくても月に1〜2回は近所の山に、年に数回はちょっと高い山や有名な山に行くなど、ちょっとした旅行を兼ねて行かれる方が多いです。

頑張って山を登った先に待っている『景色』に出会えた時、多くの方が頑張って登ってよかったと思います。また、上手く下り走れるようになってくると動物になったような感覚を味わうこともあります。夜ヘッドライトをつけて山に入れば神経が研ぎ澄まされた感覚を覚えることもあります。

今までに体験したことがない場所に行ったり、非日常を味わえることがトレイルランニングの楽しみの大きな部分です。

2、自分の成長を感じやすい

Trail Open Air Demoサイトより

最初に登れなかった山に登れるようになる。完走できなかった大会で完走できるようになる。いつも行く山が楽に感じるようになる。誰しも始めたばかりの頃はできないことや上手くいかないことがあります。新しい趣味として始める中でも、コツコツ積み上げていくとできなかったことができるようになったりと、自分の成長を感じやすいのも魅力の1つです。

また、ものすごく長い距離を走ったりと、信じられないくらいのレベルで趣味を楽しんでいる方もいますので、趣味として始めたその先に新しい世界が待っていることをお約束します。

3、仲間ができやすい

Trail Open Air Demoサイトより

始めたばかりの頃はどうしていいかわからず1人で山に行くことも少なくないかと思いますが、イベントなどに参加すると色んな方が参加をしています。みなさん一緒に山を楽しめる仲間を求めていらっしゃいますし、SNSなどですぐに連絡を取れるようになります。

特にオススメなのは近くにトレイルランニング用品が置いてあるショップ主催のイベントは、リピーターも多く、何度か通っていれば同じくらいのレベルの方や、色々教えたくてたまらない上級者の方などがいますので、トレイルランニングを通して仲間ができやすいという環境であると思います。

私はレース会場で始めて話した方と10年近く交流をする仲間が数名います。レースは共に苦労を乗り越えたという気持ちが強い分、絆も深まるのではないかと思います。

トレイルランニング(トレラン)のマナーと注意点

さて、トレイルランニングの魅力についてわかったら「さぁ始めよう!」と思うところですが、早る気持ちを落ち着けて、まずは大事な山でのマナーを知っておきましょう。
テーブルマナーと一緒で知らないと白い目で見られたり、常識のない人というレッテルを貼られてしまいますので気をつけましょう。

日本トレイルランニング協会が推奨するマナーは以下の10項目です、早速見ていきましょう。

1、自然に敬意を払って行動しましょう

2、安全第一。計画をしっかり立て、充分な準備を整えてから山に入りましょう

3、トレイルは譲り合いましょう

4、すれ違い、追い越しは必ず歩いて。

5、集団で走る時は周りに気を配りましょう。

6、トレイルから外れないようにしましょう。

7、ゴミは全て持ち帰りましょう。

8、動植物を大切にしましょう。

9、トイレは極力所定の場所ですませましょう。使った紙は持ち帰りましょう。

10、あいさつをしよう。

の10項目です。どれも重要ではありますし、登山の世界では当たり前とされています。中でも1番注意して欲しいのが、追い越しの際に歩行者を後ろから走って追い抜こうとすることです。特に下りでスピードを出してしまっている状態で、後ろから急に物音が迫ってくると、みなさん本当に驚かれます。山に入る方は頭のどこかで熊などの動物と遭遇することを想定しています、後ろから急に物音(足音)を立てて接近するのが1番登山者に嫌われます。必ず覚えておいてください。

また、登山も初心者の場合は、すれ違いの時のマナーとして『登り優先』を覚えておきましょう。ただし、年配の方の多くはすれ違いで譲られすぎると無理して登らないと行けないので、譲ってくれることが多いです。その場合は一言声をかけて爽やかにすれ違うとスマートです。

トレイルランニング(トレラン)で絶対に守ること

これだけは絶対に守りたい、守ってほしいこと。
『必ず元気に下山する』ことです。
頑張りすぎて元気がなくなって下山する分には構いませんが、ケガなどのリスクがつきまとうエリアで行動をするわけなので、元気に下山し、下山したら家族や身内に下山の報告を入れておくと周りの方が安心できます。

長くこの業界にいると山での事故や死者に出くわすことは珍しいことではありません。多くの人が参加するトレイルランニングレースでも、なぜここで滑落?なぜここで道に迷ってしまうのか?というところでの事故は年間で数件は発生しています。必ず生きて、元気に下山することを守っていきたいですね。

トレイルランニング(トレラン)で知っておくべき知識

最低限のマナー、絶対遵守事項を学んだら、次に知っておくべき知識を入れておきましょう。

1、自分のレベルを理解する(謙虚な気持ちで)

トレイルランニングで知っておくべき知識として重要なことは、『自分のレベルを知っておく』ことだと思います。自分のレベルがわかれば『無理な計画』は立てませんし、『必要な装備』もわかってくるわけです。上記でマナーの第一項に書かれていましたが、『自然に敬意を払って行動する』の大原則は、自分のレベルを知って謙虚な気持ちで山に入ることです。

2、山の天気の変化、知識を知っておく

『山の天気は変わりやすい』とはよく言いますが、本当に気候が変わるスピードが早く、標高が高ければ高いほどその環境は厳しいものになります。急に雷雲の中に入ってしまうことも可能性としてはありえます。集中豪雨で突然滝のような豪雨が振ることもあります。飛ばされそうなほどの突風や、急な積雪など、なかなか経験しなければ自然の恐怖はわからないかもしれませんが、装備がまだ揃わない時に高いレベルの山に行くのは控えましょう。

オススメの山天気のサイト→天気とくらす

3、自分の持っている道具のスペック、使い方を熟知しておく

自分のレベルがわかった、装備もなんとなくわかった。だけど使い方が・・というのはよくある話です。買って満足するのではなく、使い方までしっかりと知識を入れておきましょう。特に道に迷ったりなどのリスクがある初めての山に行く時などは、地図のGPSデータ(GPXデータ)を時計に取り込んでおくなどすると安心です。

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4、歩いても大丈夫

これはトレイルランニング初心者ではあるあるですが、私も初めてトレイルランニングするぞと意気込んで行った山で、歩いてはいけないものを勘違いをしておりました。山頂に到着する前に足が吊ってしまったのもいい経験です。
『歩いても大丈夫』なんです。特に登りはトレイルランニングレースでも多くの方が歩いて登っています。無理せず疲れたら歩いたり、立ち止まったり自分のペースで進みましょう。

5、自分の行動時間を計画する

自分の行動時間がどのくらいになるのか、少しずつ理解できてきます。『山と高原地図』という地図では大体の登りにかかる時間、下りにかかる時間が記載されています。そこに書かれているコースタイムのどのくらいのスピードで自分が動けるかがわかると、山での行動時間に対する感覚が培われてきます。なお、この『山と高原地図』のアプリ版は特に優秀でスマホのGPSデータも読むため、自分の現在地、スマホを持っている向きまでわかります。最初のうちは入れておくといいと安心です。(私は念のために大体の地図は入れています)

行動時間がわかってくると、水分を補給できるポイントやトイレまでの行動時間が計算できるようになります。水場のポイントまでの行動時間がわかると持ち運ぶ水分量がわかります。そうやって荷物を軽くしたり、必要な装備をコンパクトにしていくことで、より快適により遠くへ移動することが可能になってきます。


トレイルランニングの始め方(実践編)

ここまで読めば大体のことは理解できたと思います。あとは実行あるのみ!
ではどんな感じでステップアップをしていけば良いのか、書いていきたいと思います。

登山(トレッキング)をしてみましょう

まずは山に登ってみましょう。登山がもともと趣味だった方はこのステップは必要ありません。まずは山に登ってみて、山に慣れましょう。フラットなアスファルトを歩いたりするのとは違い、登りではさまざまな段差が待ち構えます。通常の歩行動作と比べると多くの筋力を使いますので、まずは日常で使わない筋肉を動かしてあげるといいでしょう。

まずは近場の山登りから

また、下りの時は木の根がたくさんあったり、滑りやすかったり、色んなことに気を配る必要が出てきます。山に通ううちに慣れてくるものなので特に気にしなくても大丈夫です。まずは山に足を運んでみて、山とはどんな地形なのか、どんな路面なのかを体験し、今手元にある装備で大丈夫なのかをチェックしましょう。

ワンポイント:最初は1〜2時間で十分です。東京にお住まいの方であれば高尾山くらいが最適です。

不整地を走ってみましょう

山で歩くのは週末など少し時間が取れる時に行くとして、普段ちょっとした時間は走るトレーニングに当てるのがベターです。近所にあるかわかりませんが、ちょっとした丘があれば登ってみるといいですし、砂利道があれば進んで砂利道を選びましょう。また、緑が多い公園に行けば必ずトレイルはありますので、近所で思い当たらない方は大きめの公園に行ってみましょう。

階段トレーニング、坂道トレーニングは高い効果が得られます

もしレベルアップを望のであれば、日常から階段や坂道を選ぶようにしましょう。階段トレーニングは山の登り、下りに高い効果があるといえます。なかなか山に行けなくても近所に自由に登れる階段くらいはあるはずです。

駅のエスカレーターを階段に変えるところからスタートし、普段のジョギングでもなるべく坂道や階段があるコースを選び、登り、下りで変化する運動の負荷に慣れていくことがステップアップの近道です。

トレイルランニングの道具を扱っているショップに行ってみる

これはとってもオススメです。アルバイトのスタッフだとよく話がわからない方もいますが、オーナーさんや店長さんは詳しい人が多いです。必ず話して欲しい人は実際に本人が趣味でトレイルランニングを行っている人と話すことです。

表面的な知識だけで話す人の場合、重要な部分が抜けてしまうことがあります。山のスポーツには危険が伴いますので気をつけましょう。量販店よりも行けるのであれば専門店の方がオススメです。
専門店には同じ趣味を持つ方が多く集まってくるので、お店主催のイベントなどに顔を出していくと必ず知り合いや仲間が増えてきます。

最初は億劫かもしれませんが、1度足を踏み入れるといい多くの出会いや繋がりが持てる趣味です。

とはいえ、トレイルランニング用品を扱っている専門店は全国探してもそう多くはないので、もし足を運べない環境の方は、知りたいことや欲しいものが見つかったら電話で問い合わせることをオススメいたします。基本的には商品のこと以外も丁寧に答えてくれます。使用感など感覚を文章で伝える専門家ではないので、直接話した方が細かいニュアンスなどを聞きやすいですし、お店の方も伝えやすいので楽と言われる方が多いです。

仲間を見つけよう

上記で記載したように、お店主催のイベントに顔を出していくと同じ趣味の仲間が見つかります。仲間ができることは、何よりも頑張ろうというモチベーションになります。
また、自分の中の情報だけでは辿り着けない情報や知識、場所にも導いてくれる可能性が広がります。レースに一緒に出たり、一緒に練習に行ったりということが出てくれば、交通費を折半することもできるようになります。

もちろんお店主催でなくても同じ主催者が行うイベントには同じ人が通っている可能性が高いです。仲間がいることはメリットしかありませんので、ぜひ積極的にイベントやお店で話しかけてみてください。きっと新しい世界が待っています。

イベント、大会にエントリーしてみる

イベントへの参加は、上記でも記載したように新しい仲間ができたり、たくさんの情報に出会えたりと、新しい世界が待っています。そして、少しずつ山に通い出したら大会にエントリーしてみましょう。「大会に出るレベルじゃない」と思う必要はありません。いきなり高いレベルの大会に出る必要はありませんが、初心者に優しい大会は制限時間もゆっくりなので完走できる可能性も高いです。

Rock’n Bear

まずは距離が短い(20km以下がオススメ)大会を探してエントリーしてみてください。20kmの山を走る上で必要な装備や準備をいやでも考えなければならないですし、考えることをするようになります。自分にとって必要なもの、必要ではないものを知るためにも、大会はいい機会です。

そして、完走できると「次はもっと長く」「次はもっと楽に」と次のステップが待っているのと、完走した達成感や爽快感は何事にも変えられません。私も初めて出た山岳レースからは10年くらい経ちますが、今でも初めてのレースのことはよく覚えています。とにかくオススメなので、ぜひ考えずにエントリーしてみることをオススメいたします。

まとめ

今回は、トレイルランニングとは?というところから、トレイルランニングの魅力、知っておくべきルールとマナー、トレーニング方法やトレイルランニングの始め方について確認してみました。
難しいことは考えなくていいので、このブログを読んでまずは小さな第一歩を踏み出していただけたら幸いです。