トレランシューズで登山 登山靴との違いと使い分けについて

これから登山を始めてみよう・・と思った方がまず最初に買うべきものは何か。恐らく登山靴を想像すると思います。近くの山を歩けばしっかりとした登山靴で歩いている人をたくさん見かけるし、山で人に迷惑をかけることは悪とされます。よし登山靴を買おう。しかしながら、最近山に行くとトレランの人もよく見かけるようになりました。あまりにも軽快な足取りに、彼らが履いているシューズが気になります。

最初に結論を言ってしまうと、用途によりますが、初心者はほぼトレランシューズ一択で問題ありません。必要に応じてトレランシューズの中から防水タイプを選べるといいでしょう。

参考記事:トレランシューズの選び方 防水?非防水?ロードと兼用できる?細かく解説します

トレランシューズと登山靴の違い

そこで登山用品店に行ってみると、たくさん並んだ登山靴の隅っこで申し訳なさそうにトレランシューズが置いてあります・・よくある光景です。店員さんに相談してみると、私の経験では登山用品店では単価の高い登山靴に誘導されることが多いです。知識がないまま相談すると言われるままに登山靴を買うことになりますが、自分にとって必要な知識を入れておくことで店員さんに舐められることなく、より丁寧に接客してくれます。(特にちゃんとしている店員さんは、違いをしっかり説明しながら最適なシューズを見つけてくれますのでご安心ください)

ここからは、『登山』での使用について、トレランシューズとミッドカットの登山靴(雪山用を除く)の違いについて書いていこうと思います。

それぞれのメリット・デメリットを解説

トレランシューズのメリットは、軽い・楽・疲れにくい・蒸れない・滑りにくい・価格が安い、デメリットは濡れる・小石が入ることがある・重たい荷物だと安定性が欠ける可能性がある・冷えることがある・耐久性が劣るなどが挙げられます。
一方、登山靴のメリットは防水(じゃないのもあります)・防寒・耐久性が高い・つま先で蹴れるので雪でも歩ける・足首を保護してくれそうな安心感・重たい荷物の時でも安定性が高い、デメリットは重い・蒸れる・疲れやすい・靴ひも結ぶのがめんどくさい・価格が高い、などが挙げられると思います。比較すべき内容について、それぞれについて1つずつ分解して見ていきましょう。

1、重さ
トレランシューズはメンズのモデルで片足250g〜350gくらいです。一方ミッドカットの登山靴は500g〜650gくらいと、約2倍の重量があります。これから登山を始めようという方であれば、重たいシューズよりは軽いシューズの方が気持ちよく歩けます。

重さについては圧倒的にトレランシューズに軍配

2、快適さ・疲れにくさ
トレランシューズとミッドカット登山靴の大きな違いは、重量もさる事ながら足首のしなやかさで大きな違いが生まれます。一見ミッドカットの方が捻挫しにくそうと言う印象を持たれると思いますが、ローカットのトレランシューズでも、もともと足首が弱くない人でない限り、それほど捻挫することはありません。それよりも足首(足関節)が前方向に曲がるか曲がらないかで、疲労度が圧倒的に違います。足首が前方向に曲がりにくい登山靴では重心移動に一定のストレスがかかります。なおかつ重たいので、足を持ち上げて1歩1歩進んでいくと言う印象です。(あくまで主観的ですが)

と言うことで、快適さは圧倒的にトレランシューズに軍配

3、防水性と蒸れについて
防水性と蒸れることはトレードオフの関係です。頑丈な防水の登山靴であればあるほど蒸れます。しかしながら水は入りにくいと言うことで、この関係性はどちらが快適かを言い切るのは好みの問題になります。

登山靴を履く方は、山で濡れてしまうと1日不快・・と言うことで防水の登山靴を使用したいという方が多いです。これもよくわかります。
トレイルシューズを登山で履く方は、軽さと蒸れにくさで選ばれる方が多いでしょう。
好みにもよりますが、防水のトレランシューズがいいとこどりなのかもしれません。

4、滑りにくさ
登山靴よりもハードでアグレッシブな運動強度のトレランシューズの方が、一般的にグリップ性能はいいと言われていますし、私自身もトレランシューズの方が明らかに滑りにくく感じます。

5、耐久性と価格バランスについて
耐久性はやはり登山靴。大体重さと耐久性は比例します。価格とそれぞれ比較して、長く続ける方の場合、総合的に安くなるのは登山靴になると思います。トレランシューズのクリップの良さは、言ってしまえば地面との摩擦の強さでもあるため、ソールの消耗もそれなりに早いです。ただし、登山初心者で年に何回行くかもわからない方の場合、重たい登山靴は挫折する可能性があるため最初はトレランシューズの方がいいでしょう。

6、操作性(靴の脱ぎ履き)
登山靴も1度履いてしまえば、脱ぎ履き自体はほとんどないので操作性については特別検討しなくてもいいのかなと思います。トレランシューズのイメージとして小石が入るのでは?と思われることもあるかと思いますが、実際あまり入りません。入った場合に脱ぎ履きに少し時間がかかった場合でも、登山靴を最初に脱ぎ履きする時間と相殺して操作性についてはイーブンになるでしょう。

7、足の保護性能
足の保護については、登山靴の方が頼りになりそうに見えます。トレランシューズが捻挫しやすそうということを言って単価の高い登山靴を売ろうとする登山用品店は未だにありますが、トレランシューズで歩いていて捻挫(走る場合はたまに起こることだと思いますが)と言うのはほとんど聞くことはありません。

反対に足元が滑った場合などの急な動きに対しては重たい登山靴よりも、軽い登山靴の方が敏感に対応ができます。「足の保護性能」とは異なる見解かもしれませんが、シューズの安全性については、イメージや重量ほど登山靴にメリットを感じません。

1度履いたら戻れないのがトレランシューズ

私は登山を始めるに当たって、もう15年以上前でしょうか・・防水のミッドカットのシューズを買いました。体力もそこそこあったので歩けないことはないし、予想していなかった雪渓(経験・調査不足)で足元が滑って前に進めなかった時も、現場に居合わせたおじさんにキックステップを教えてもらって前に進むことができました。だから登山靴でしか感じられないメリットも少しはわかります。

しかしながらどうにも重たい登山靴じゃなければ、もっと遠くまで、もっと軽快に行けるのに・・と思っていた時に出会ったのがトレランシューズです。当時はまだ種類も少なくColumbiaのモデルしか近くに売っていなかったので(GORETEXのもの)それに履き替えました。
まだ年配の方に比べれば私は若い方の部類に入りますし、軽登山であれば絶対にトレランシューズがいいと言うわけではないけれど、1度トレランシューズで山に行き始めたら登山靴らしい登山靴は雪山用か、ロングハイク用の防水シューズ(トレランシューズのミッドカット)くらいしか履かなくなりました。もう、あの重たい登山靴に戻ることはないでしょう。

今でも高尾山などを歩いたり走ったりする時に重たい登山靴で登る年配の方を見ると、拷問のように見えてきてしまいかわいそうに思えてきます。「山登りはこうあるべきだ」と言う固定観念に縛られているのだとしたら、1度履いてみて欲しいと心から願ってやみません。

初心者が登山靴やトレランシューズを選ぶポイントは?

初心者が登山を始める時にトレランシューズを選べばいいと冒頭で書きましたが、一概にそうは言えない場合もあります。なので、防水の登山靴を買うかトレランシューズを選ぶかのポイントを、用途ベースで書いていこうと思います。

登山で靴を選ぶポイント

ポイント1:雨でも山によく行くか

防水の重たい登山靴を買ったはいいものの、そういえば雨の日に山なんて行きたくない!と言う方もけっこういると思います。天気予報が雨で行く気が失せてしまう人は、そもそも防水じゃなくてもいいと思います。変わりやすい山の天気とはいえスタート時点で雨なら行かないと言う方は、トレランシューズじゃなくても通気性のいいメッシュタイプをオススメいたします。

ポイント2:山小屋やテント泊をする機会があるか

ポイント1で雨の日には山に行かない・・と言う人の中でも山で宿泊が伴う方であれば、天気予報と天気が違うことなんてしばしば・・晴れていても朝露でびしょびしょの草木に当たれば当然靴の中まで浸透します。宿泊を伴う山行も考えている方であれば防水のシューズを持っておくと重宝します。

ポイント3:アルプスなど岩場が多い山歩きをメインで考えている方

初心者でもそのうち行ってみたいと思うのが3000m級の日本アルプスや八ヶ岳など、わりと標高が高く岩場の多い山歩きを考えている方。場所によっては重たい荷物を背負ってつま先だけで体重を支えなければいけないなどテクニカルな山もあります。そういった山の場合、アウトソールと呼ばれる靴底が硬く一枚岩のように曲がらない登山靴の方が安定します。

防水でちょっと重たい登山靴を選んだ方がいいというシチュエーションは、上記のような時です。いずれも初心者というよりは中級者以上と言っていいレベルだと思います。まずは山に慣れるという意味では近場の山に通って慣れていく。そんな時はトレランシューズで十分です。というのが結論になります。

防水のトレランシューズという選択肢

重たい登山靴が快適でないのはわかるけど、防水性能は捨てがたい選択肢・・そんな方には防水のトレランシューズがオススメです。軽量でしなやかな動きを出しながらも防水機能を搭載しているトレランシューズは山歩きにも最適。上記のポイント3のシチュエーションでは少し頼りないと感じる方は、頑丈で屈強な登山靴もいいと思いますが、その他のシチュエーションでは概ね事足りる選択肢と言えるでしょう。

防水のトレランシューズの中にはミッドカットのモデルもあります。元がトレランシューズのミッドカットモデルは足首のしなやかさも保てているので、とても歩きやすいです。

防水トレランシューズのオススメはコレ

1、HOKE ONEONE CHALLENGER GORETEX(ホカオネオネ チャレンジャー ゴアテックス)


2、ALTRA LONE PEAK ALL WEATHER(ローンピーク オールウェザー ロー)


3、LONE PEAK ALL WEATHER MID(ローンピーク オールウェザー ミッド)


まだ履けてませんが、気になるシューズ(履いたら追加します)
4、SALOMON SENSE RIDE 4 GORE-TEX INVISIBLE FIT(サロモン センスライド 4 ゴアテックス インビジブルフィット)

まとめ

基本的に登山初心者の靴選びは、概ねトレランシューズで十分であり、防水性能が欲しい方はトレランシューズの中から防水モデルを選ぶのがオススメです。

登山靴が活躍するシチュエーションでは登山靴ももちろんいいと思いますが、ある程度運動経験がある40歳以下の方であれば、標高が高い岩場もきっとトレランシューズの方が快適だと思います。
皆さまの快適な山行のための靴選びにお役に立てましたら幸いです。