VDOT表から練習メニューを考える 目標タイムに近づける5つのトレーニング

今回は目標タイムに近づけるためのトレーニングについて、ダニエルズのランニングフォーミュラを参考に書いていきたいと思います。このブログを読み終えるころには、自分にとって必要なトレーニングが見えてくると思います。

VDOT表から目標タイムを考える VO2MAXの違いと用語の解説

2021.09.11

VDOTとは

おさらいです。VDOTとは、ジャックダニエルズ著の『ダニエルズのランニングフォーミュラ』に登場する『走力』の指標でしたね。この数字を使うと、現在の自分の走力から他のレースタイムを一覧表で見つけることができ、簡単に目標設定をすることができます。

もう1度よく確認したい方は上のリンクよりチェックしてみてください。

VDOTを活かしたトレーニング方法

それではさっそく、VDOTをどうトレーニングに活かしていくのかを解説したいと思います。

今回は E / M / T / I / R の方に注目していきたいと思います。

E=イージーペース

M=マラソンペース

T=閾値ペース

I=インターバルペース(1000mのタイム)

R=レペティションペース(400mのタイム)

VDOT表 右側が切れてしまうときはスライドさせて下さい

VDOT1.5km5km10kmハーフフルEMTIR
308:3030:401:03:462:21:044:49:177:526:516:24/2:16
318:1529:511:02:032:17:214:41:577:416:416:14/2:12
328:0229:051:00:262:13:494:34:597:306:316:05/2:08
337:4928:2158:542:10:274:28:227:206:215:56/2:05
347:3727:3957:262:07:164:22:037:106:135:48/2:02
357:2527:0056:032:04:134:16:037:016:045:40/1:59
367:1426:2254:442:01:194:10:196:525:565:335:071:55
377:0425:4653:291:58:344:04:506:435:485:255:001:53
386:5425:1252:171:55:553:59:356:355:415:194:541:50
396:4424:3951:091:53:243:54:346:275:335:124:481:48
406:3524:0850:031:50:593:49:456:195:275:064:421:46
416:2723:3849:011:48:403:45:096:125:205:004:361:44
426:1923:0948:011:46:273:40:436:055:144:544:311:42
436:1122:4147:041:44:203:36:285:585:084:494:261:40
446:0322:1546:091:42:173:32:235:525:024:434:2198
455:5621:5045:161:40:203:28:265:464:564:384:1696
465:4921:2544:251:38:273:24:395:404:514:334:1194
475:4221:0243:361:36:383:21:005:344:464:294:0792
485:3620:3942:501:34:533:17:295:284:414:244:0390
495:3020:1842:041:33:123:14:065:234:364:203:5989
505:2419:5741:121:31:353:10:495:184:314:153:5587
515:1819:3640:391:30:023:07:395:134:274:113:5186
525:1319:1739:591:28:313:04:365:084:224:073:4885
535:0718:5839:201:27:043:01:395:044:184:043:4484
545:0218:4038:421:25:402:58:474:594:144:003:4182
554:5718:2238:061:24:182:56:014:554:103:563:3781
564:5318:0537:311:23:002:53:204:504:063:533:3480
574:4817:4936:571:21:432:50:454:464:033:503:3179
584:4417:3336:241:20:302:48:144:423:593:463:2877
594:3917:1735:521:19:182:45:474:383:553:433:2576
604:3517:0335:221:18:092:43:254:353:523:403:2375
614:3116:4834:521:17:022:41:084:313:493:373:2074
624:2716:3434:231:15:572:38:544:273:463:343:1773
634:2416:2033:551:14:542:36:444:243:433:323:1572
644:2016:0733:281:13:532:34:384:213:403:293:1271
654:1615:5433:011:12:532:32:354:183:373:263:1070
664:1315:4232:351:11:562:30:364:143:343:243:0869
674:1015:2932:111:11:002:28:404:113:313:213:0568
684:0615:1831:461:10:052:26:474:083:283:193:0367
694:0315:0631:231:09:122:24:574:053:263:163:0166
704:0014:5531:001:08:212:23:104:023:233:142:5965
713:5714:4430:381:07:312:21:264:003:213:122:5764
723:5414:3330:161:06:422:19:443:573:193:102:5563
733:5214:2429:551:05:542:18:053:543:163:082:5362
743:4914:1329:341:05:082:16:293:523:143:062:5161
753:4614:0329:141:04:232:14:553:493:123:042:4960
E:Easy / M:Marathon / T:Threshold / I:Interval(1000m) / R:Repetition(400m)

目標タイムに近づける5つのトレーニングについて

前回のブログで『5つのトレーニング方法があるんだな』というところまでは理解できましたね。

今回は、その5つのトレーニングのそれぞれについて書いていきたいと思います。

その前におさらいです。5つのペースとは

Easy Pace(イージーペース)
Marathon Pace(マラソンペース)
Threshold Pace(閾値ペース)
Interval Pace(インターバルペース)
Repetition Pace(レペティションペース)

の5つでしたね。それではさっそくそれぞれについて見ていきましょう。

トレーニングの指標となるペースや心拍数の管理にはこちらのGPSウォッチがオススメです。


イージーペース(Eペース)

 イージーペースは、簡単にいうと『会話ができるくらいのペース』です。 

「会話ができるくらいのペース」この言葉、前にも出てきましたよね。前にも出てきたので、この記事を最後まで読んだ後にこちらも参考までにチェックして見てください。

LSDランニングは効果あり?初心者が設定する心拍数や時間・ペースについて

2021.08.31

LSDとはちょっと異なりますが、イージーペースはいわゆるジョグに当たります。一流ランナーもジョグは必ず取り入れているトレーニングです。マラソンをはじめとする長距離ランナーのトレーニングは、その大半がこのイージーペースでのランニングを行うのが良いとされています。

個人的な意見ではありますが、VDOT表のイージーペースは多分速いと感じる(全然イージーじゃない)方が多いと思いますので、あくまで参考とし、+20秒〜30秒くらいしても問題ないと思います。確かに表のペースがイージーに感じれば目標タイムもクリアできそうですね。

VDOT目標フルマラソンEペース
54サブ32:58:474:59/km
45サブ3.53:28:265:46/km
38サブ43:59:356:35/km
33サブ4.54:28:227:20/km

この目標数値でいきなりトレーニングする必要はありません。例えばサブ3.5レベルの人がいきなりサブ3を狙うぞとイージーペースを5:00/kmにしたとします。すると、ほぼほぼマラソンペース(表だと4:56/km)となってしまい、本来必要なEペースランニングにならなくなってしまいます。

まずは現状にあったイージーペースからスタートし、徐々に楽になったらペースを上げるようにしていきましょう。どんな選手もジョグは大切にします。1番時間を使うトレーニングだからこそ、しっかりと目的を持って取り組みたいですね。

イージーペースランニングの目的・意識すること

イージーペースランニングでは、基礎的な心肺機能の向上、長距離を走れる脚づくり、脂質代謝の能力向上など、ランニングにとって大切な基礎を固めることを目的とします。ランニングフォームを意識することで、ケガをしにくい走り方を体得しましょう。

イージーペースランニングで走る時間

イージーペースランニングで走る距離は、基本的に80分くらいまでを1つの目安に走るといいでしょう。また、イージーペースがイージーと感じない場合は、時間が短ければ頑張って、長めに走るときは途中で失速を控えたいので、ゆるやかにビルドアップして、最後をイージーペースでフィニッシュできるようにしていきましょう。

ビルドアップ走とは やり方/効果/ペース設定/サブ4対策について

2021.09.09

マラソンペース(Mペース)

マラソンペースは、いわゆるフルマラソンでのレースペースのことを言います。大体1kmを全力で走るときの80%くらいのイメージというと伝わりやすいでしょうか。

マラソンペース・・これも前に出てきましたね。

ペース走とは ペースの設定/効果 長距離ランナー必須のトレーニング

2021.09.10

これまでに出てたペース走は、マラソンペースを基本としながらもマラソンに出ない(中学生など)方も一定のペースで取り組める内容でした。

マラソンペースは文字通りのマラソンペースです。VDOT表から Mペースを見ていきましょう。

VDOT目標フルマラソンMペース
54サブ32:58:474:14/km
45サブ3.53:28:264:56/km
38サブ43:59:355:41/km
33サブ4.54:28:226:21/km

マラソンペースの目的・意識すること

マラソンペースの1番の目的は、レースのスピードを体に覚えこませることです。人数が多いフルマラソンなどで自分のペースを見失わずに走り切ることは、目標タイムに近づく上でとても重要な要素です。また、マラソンペースでのトレーニングはもちろん持久力・心肺機能の強化にもつながります。また、レース時の足の負荷にも慣れることができますね。

マラソンペースで走る時間・距離の目安

マラソンペースでのランニングは、理想を言えば12km〜16km走れれば良いのですが、夏場は気温が高くてスピードが出せなかったり、時間が取れない時もあると思います。少なくとも6km以上は走るようにし、長くても20km以内くらいで終えるようにしましょう。

本番に向けてコンディションが上がってきた場合などは、ビルドアップをしながら20〜25kmくらいまで走ってもOKです。大事なことは途中で失速しないこと、ある程度の余裕を持って走り切ることが重要です。途中で失速してしまうと本番前にネガティブなイメージがついてしまうため、気持ちよくフィニッシュすることに心がけましょう。

閾値ペース(Tペース)

Threshold(スレッシュホールド)難しい言葉が出てきましたね。平たくいうと限界まで追い込んで1時間やっと走り切れるペースです。感覚的には1kmを全力で走るときの90%くらいのイメージです。

テンポ走と呼んだりもするので、こちらも参考に

テンポ走の効果は?30kmの壁を乗り越える マラソンのトレーニングで重要なワケ

2021.09.11

ここでLT(乳酸閾値)という言葉が出てきます。LT値はAT値とほぼ同じ意味で捉えて問題ありません。LT値を超えて運動を続けると、急激に血中乳酸濃度が高くなります。簡単にいうと足が動かなくなってしまいます。

イメージで伝えるとこんな感じです。(下にもっと簡単に書いてありますので、難しかったら飛ばしてください)

このLTにあたる部分をエネルギー代謝の面から捉えると、以前出てきたAT値の値がLT値になります。ほぼ同じでイメージしていただいて問題ありません。エネルギー代謝の面からいうと、ランニング中のエネルギーはほぼ100%糖質でまかなっていますよという値がAT値でした。血中に乳酸がたくさん分解され、乳酸の除去(回収)が追いつかなくなる値のことを言います。

話が少し難しくなってしまいましたが、レースなど本番で1時間限界まで走り切れる値といっても、なかなかそんなに限界まで走ることなんてないですよね。なので、一般的にはトレーニングで20〜30分維持できそうなくらいのペースと言われています。

Tペースは閾値走と呼ばれたりテンポ走と呼ばれたりすることの方が多いと思います。VDOT表からTペースについてチェックしていきましょう。

VDOT目標フルマラソンTペース
54サブ32:58:474:00/km
45サブ3.53:28:264:38/km
38サブ43:59:355:19/km
33サブ4.54:28:225:56/km

閾値ペースの目的・意識すること

閾値ペースは、いわゆる「乳酸が溜まり(血中乳酸濃度が急上昇し)」足が動かなくなるラインのことです。呼吸はまだ余裕があっても筋肉が急に動かなくなる境界線を超えてしまったことを意味します。経験がある方もきっと多いと思います。

基本的に一定ペースで走ると右肩上がりに心拍数は上がっていきます。その境界線もしくはその少し下の心拍数で走るトレーニングになり、AT値(LT)を引き上げることを目的としています。AT値を引き上げることは別の言い方で乳酸処理能力を向上させるという言い方になります。

また、スピードを出した時の筋持久力(スタミナ)やメンタルも鍛えられます。

閾値ペースで走る時間・距離の目安

走る時間や距離の目安は20分で十分です。20〜30分でそれなりにきついと感じるペースなので、実際に20分走りましょう。トレーニングの言い方としてはテンポ走というと日本で長距離を走っているランナーには通じます。

テンポ走(20分間走)がきついと感じるコンディションの時はクルーズインターバルにトライして見ましょう。初めて登場してきました、クルーズインターバル。

クルーズインターバルとは、20分を半分に分け前半10分をTペースよりもやや遅いペースで走り、後半10分をTペースで走ります。トータルの時間をこなすために2〜3本は行ないましょう。

トレーニングの管理にはGPSウォッチがオススメです


インターバルペース(Iペース)

インターバルペースは3000m〜5000m走時のレースペースの運動強度になります。大体12分くらいをマックスで走ったときのタイムです。感覚的に伝えると1000mを全力で走るときの95%くらいの力です。

VDOT目標フルマラソンIペース
54サブ32:58:473:41/km
45サブ3.53:28:264:16/km
38サブ43:59:354:54/km
33サブ4.54:28:22/
※VDOT33の方の場合、インターバルは行わず、EペースやMペースのランニングをしっかりと行ないましょう

インターバルトレーニングについてはこちらでも記載があるので、VDOTのペースを参考にトレーニングを組み立てていきましょう。

インターバルトレーニングの効果と効率的なやり方・注意点などまとめ

2021.09.05

インターバルトレーニングの目的・意識すること

インターバルトレーニングは、VO2MAXを向上させます。
別のブログでも書いていますが、AT値を超える運動とAT値よりもレストで心拍数を下げることによって、より効率よく乳酸を処理する能力を高めます。

インターバルトレーニングの時間・目安

このVDOT表に出ているインターバルトレーニングのタイムは1000mのタイムです。インターバルトレーニングは、ショートインターバルやロングインターバルと種類もありますので、上記のブログリンクからチェックしてみてください。

レペティションペース(Rペース)

レペティションペースでのトレーニングは、前にも出てきましたね。

レペティショントレーニングの鍵はレストにあり 効果的なやり方とメニュー

2021.09.08

全力疾走としっかりしたレストを組み合わせることで、全力疾走で最大のスピードを強化します。

VDOT目標フルマラソンRペース
54サブ32:58:4782秒/400m
45サブ3.53:28:2696秒/400m
38サブ43:59:351分50秒/400m
33サブ4.54:28:222分05秒/400m

レペティションペースでのトレーニングの目的・意識すること

繰り返しになりますが、レペティションは最大スピードをと高出力時のスタミナを強化するためのトレーニングです。途中で走れなくなってしまわない速度で全力疾走をすることが大切です。そしてしっかりとレスト(休憩)を取り、再び全力疾走という流れを繰り返します。しっかりと心拍数が落ち着くまでゆっくり歩いたりストレッチなどで体を休め、最大スピードが出るように調整しましょう。

また、かなり体の負担が大きいのでケガに注意することが1番大切です。

レペティショントレーニングの時間・目安

前回のブログには、わかりやすく基本1000mで3本〜5本を目安に行いましょうと記載しました。400mのペースを目安とし、1000mで設定して問題ありません。また、もちろん400mで行ってもOKです。途中で潰れないペースで最大スピードを上げていってください。

まとめ

今回はなかなかのボリュームでしたね。

VDOT表にある5つのトレーニングについて書いてきました。

イージーペースは会話ができる程度のペースでランニングの大部分を占めるトレーニングでした、長くても80分程度を目安に行ないましょう。

マラソンペースは一般的にフルマラソンの予想タイムの平均スピードで12〜16km走れるのが理想的でしたね。

閾値ペースは、乳酸の処理能力を高めることを目的としたトレーニング、AT値をギリギリ下回るくらいで20分を目安に走りましょう、テンポ走と一般的には言いましたね。

インターバルペースは、VO2MAXの向上を目的としたトレーニングでした、もちろん他にも乳酸処理能力、持久力、スピード、スタミナなどさまざまな能力の向上を目的としています。ショートインターバル、ロングインターバルなどを組み合わせて自分に合ったトレーニングを作っていきましょう。

レペティションペースは、全力疾走としっかりとしたレストの組み合わせでしたね。こちらは最大スピードとスピードが出ているときの筋持久力をつけることが目的です。しっかりとレストを取って、最大スピードを維持する言葉ポイントです。


それぞれの言葉やトレーニングのイメージはつかめましたでしょうか。

まずはこの5つのトレーニングがあるんだなということを知っていただければOKです。次のステップで具体的に自分にあったトレーニングメニューを立てていきましょう。ではまた