テンポ走の効果は?30kmの壁を乗り越える マラソンのトレーニングで重要なワケ

『テンポ走』なかなか聞きなれない言葉かもしれません。別の言い方で閾値走やLT走などと言ったりする場合がありますし、場合によってはペース走と捉えることもできます。今回は、ちょっとわかりにくい「テンポ走」について書いてきたいと思います。

テンポ走(閾値走)とは

テンポ走は、走っているうちに溜まっていく乳酸を効率よくエネルギーに変換させることで、運動強度が上がった時でも疲れにくい体を作るために行ないます

どういうことかと言うと、ランナーの方であれば1度は経験したことがあるかと思いますが、一生懸命頑張って走っている時に、急に足が重たくなって動かなくなった経験があると思います。それは体を動かす時に使うエネルギー源が100%糖質になり、血液中に分解される乳酸の量が一気に増えてしまうことで起こります。

乳酸と聞くと、疲労物質のイメージが強いですが、乳酸も立派なエネルギー源として機能しています。乳酸を効率よくエネルギーに変換させるよりも早く、乳酸が血液中に分解される境界線を乳酸性閾値(LT)といいます。この乳酸閾値を引き上げることが、より長く、よりハードに運動を継続した時に「疲れにくい体」として機能します。テンポ走はこの乳酸閾値を引き上げるためのトレーニングです。

閾値を理解するためのお話

「閾値」とは「境界線」と思っていただいて問題ありません。ここではいくつかの閾値の話をします。まずは名前から

LT・・・乳酸性閾値
AT・・・無酸素性作業閾値
VT・・・換気性作業閾値
AeT・・・有酸素性作業閾値

ここでいうLT/AT/VTはほぼ一緒と言う認識で構いません。
基本的には無酸素運動から有酸素運動に切り替わるポイント(AT)のことを指します。AT値をどう判断するかで、血液中の乳酸濃度から値を出した場合をLT、呼吸の二酸化炭素濃度から値を出す場合をVTと呼びます。基本的にこの3つの値はほぼ一緒という認識でOKです。

一方、AeT値は有酸素運動に無酸素運動の要素が入ってくる値で、運動強度に対して1番効率よく長時間動けるラインです。

文章だと理解しにくいので、図で示すとこんな感じです。

運動強度が上がれば心拍数が上昇しますし、運動強度が上がらなくても継続時間が長くなれば心拍数は上昇します。このAT値を超えると、いわゆる『乳酸が溜まって体が動かない』状態になります。AT値は基本的に心拍数の値で表現します。

マラソンで重要と言われるのは、一定ペースで走っている場合でも、レース後半に疲労がたまり心拍数も上昇するからです。30kmの壁と呼ばれるのはこのためです。なので30kmの壁に阻まれないためにも、AT値を上げておくことが重要です。

テンポ走はこのAT値(LT値)をより高い位置に引き上げることを目的とします。

AT値はどうやって測るかというと、計算でも出せます。

AT値とAeT値を自動計算 効率よくエネルギーを作るための脂質代謝の考え方

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が、正確な値を知って、定期的に効果測定した方がより効率よく高いモチベーションでトレーニングに取り組めます。VO2MAXと一緒にAT値を計測できる施設はこちら

VO2MAX 年齢別の指標 計測できる施設と算出方法、向上させるトレーニングについて

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テンポ走 設定ペースの目安

テンポ走の設定ペースは、1時間走り切れる限界のペースで走ります。なかなか1時間走で追い込むことは普通の人はあまりないと思いますし、我々市民ランナーにとって1時間の追い込みは、かなりのストレスになります。

そこで、『20〜30分走ったらそこそこきつい』と言うスピードでトライします。タイムトライアルではないので全力というよりは90%くらいのスピードになると言われています。また、インターバルのようなスピードでもありません。(インターバルは概ね12分を全力で走る時のペースと言われます)

一定のペースで走りますが、『ペース走よりは速そう』ということがわかりますね。

それなりの運動強度になるため、走る時間は20分で十分です。慣れてきたら30分まで伸ばせるといいでしょう。設定ペースがよくわからない方は、こちらのVDOT表のブログで、自分の走力と照らし合わせながらペースを設定してみて下さい。

VDOT表から目標タイムを考える VO2MAXの違いと用語の解説

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テンポ走に代わるクルーズインターバル

「テンポ走がキツそうだからやりたくない」という方は、ぜひクルーズインターバルにトライしてみて下さい。クルーズインターバルは、前半10分をテンポ走よりも少し抑えたペースで走り、後半10分をテンポ走のペースで走ります。

例えばサブ4の方のペースを参考にお伝えすると、サブ4の方の場合のテンポ走の設定ペースは5分20秒が目安になります。前半10分を5分40秒で走り、後半10分を5分20秒で走るといった形で、2〜3本走り、トータルのテンポ走の時間を確保します。5分40秒がきつい場合は6分まで落としてしまっても問題ありません。徐々にコンディションとともに上げていきましょう。


まとめ

テンポ走は運動強度が上がった時でも疲れにくい体を作ることを目的とします。
乳酸を効率よくエネルギーとして再利用し、体に溜め込まないようにするためのトレーニングの1つです。ここでAT値(LT値)を理解し、実際に測ったりなどして、定期的に効果測定を行えるとより効率よくトレーニングをすることができます。

設定ペースは概ね90%くらいの力で走りますが、感覚でわかりにくい方はブログのリンクを参考にVDOT表から導き出しましょう。