今回はペース走について書いていきます。インターバルトレーニング、レペティショントレーニング、ビルドアップ走に続き、ランニング中のスタミナと心肺機能を上げるトレーニングです。私も中学生の時から取り組んでいました。陸上の中長距離においては基本のトレーニングですね。
ペース走とは
ペース走とは、文字通り一定のペースで走るトレーニングのことを言います。どんなシーズンでも、どんな練習を行っている人でも、ランナーであれば取り入れやすいトレーニング方法として、中学生からマラソン選手までが取り入れています。
ジョギングとの違い
その人にとって低い運動強度で一定ペースでスピードに対する目的意識なく走ることは、ペース走と言わずに『ジョギング』いう場合があります。ある程度、タイムを意識して取り組むトレーニングとして一定のペースを狙って走ることを『ペース走』と言います。
例えば、フルマラソンのトレーニングの一環として、サブ4を狙う方が5:40/kmで10km走るなど、距離とペースを決めて取り組むのが一般的です。
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ペース走の効果/目的
レースペースで走ることができるようになる
ペース走の1番の狙いは、一定のペース感覚を養うことです。例えばフルマラソンで言うならば、目標のタイムがあって、1kmあたりのペースもわかっているのに、自分がどのくらいのペースで走っていいかわからない・・ということになると、レース当日は周りのスピードに流されてしまい、本来自分が走りたいペースで走ることができない、と言うことになってしまいます。
そうならないためにも、『一定のペースで走る』ことを身につけるためにペース走を行います。
持久力・スタミナの向上
次に、当たり前かもしれませんが、持久力・スタミナが向上します。こちらも設定ペースによるのですが、一般的にフルマラソンに向けてトレーニングをする方の場合は、レースペースを1つの目標にしてペース走を行うことが多いです。
先ほども出てきましたが、例えばサブ4を狙う方の場合は1kmあたり5:40で42.195kmを走り切る必要が出てきます。なので、このスピードを出し、維持するための筋持久力がついていきます。
また、レース時と同じペースで走り続けることによって、ランニングフォームをより安定させることができ、AT値を超えた状態でもランニングフォームを維持できるようになり、運動効率を下げないというメリットがあります。
AT値の向上
少し難しい説明になってしまうかもしれませんが、AT値と呼ばれる値が存在します。わかりやすく説明をすると、1500m走を走っている時、1200mくらいまでは目標のペースで走れていたのに、残り300m、急に足が重たくなってスピードが落ちた経験はありませんか?
AT値を上げることによって、足が急に重たくなって失速するタイミングを遅らせることができます。
少し難しい話になるので、AT値に関してはこちらをご覧ください。
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ペース走の設定
それではペース走の設定について大きく2つ書いていきたいと思います。
距離の設定
まず距離の設定です。
フルマラソンのタイムをベースとしてトレーニングすることが多いため、長すぎるとかなりハードなトレーニングになります。理想は12km〜16kmくらい走れればGOODです。気温が高い夏場は運動の相対的な負荷が高くなるため、距離は少し短めで大丈夫です。無理して疲れを残すよりもしっかりとしたペースを刻むことが重要です。
短すぎるとペース走の目的である『ペース感覚』や『AT値の向上』などの部分の効果が少し落ちてしまいます。暑くてちょっと今日は厳しいなという時は、多少ペースを落としても大丈夫なので、決めたタイムでしっかりと走り切るのがベターです。
また、長すぎるとケガのリスクもあるため、長くても20kmくらいまでで切り上げましょう。
ペースの設定
ペースの設定は、主にフルマラソンの目標タイムで行うのが一般的です。レースペースで行う場合、サブ4の方の場合は5:40/kmでしたね。サブ5の場合は7:00/kmになります。
フルマラソンを走る予定がある人や走ったことがある人は、ペース一覧表から簡単にチェックできます。
2024.02.25
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レースペースで走れる距離を少しずつ伸ばしていければ、レースに向けての自信にも繋がりますね。また、「距離の設定」のところにも記載しましたが、気温や体調によってかかる負担は、毎回一緒ではありませんので、体のコンディションを考えながら距離を短くしたりペースを少し落としたりと、続けられる負荷で行いましょう。
フルマラソンを走ったことがないという方には、VDOTと呼ばれる指標があります。自分の現在の実力から『Mペース』を選択してもペース走のペースが簡単にチェックできます。
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AT値を目標にできると良い
先ほども少し触れましたが、このペース走というのは、AT値を上げるためのトレーニングとしても用いられます。自分にとってある程度苦しいと思って走っていた距離・ペースも、繰り返していくうちに楽に感じられる時ってありますよね。
一概には言えませんが、きつい状態に体が慣れてくるとレベルが上がるようにAT値も上がっていきます。もし、自分のAT値を管理しながらトレーニングができそうな方は、ぜひリンクの記事を読んで自分のAT値(理想は専門の施設で測りましょう)を意識しながらトレーニングを行いましょう。
VO2MAXを測れる施設では基本的にAT値も測れますので、専門的な施設で測りたい方はこちらのブログも参考にして下さい。
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ペース走の注意点
ペース走は、ジョギングと混同されがちですが、運動負荷の高いトレーニングです。
高強度トレーニングで大切なことは、何度も言っているように『ケガをしない』ことです。しっかりと体のケアをして、ケガの予防に努めていきましょう。
運動前のウォーミングアップはもちろん、終わった後のクールダウンをより重点的に行なって下さいね。ダウンジョグ・栄養補給・入浴・ストレッチなど欠かさないように、お願いいたします。
まとめ
ペース走はいわゆる『レースペース』で決められた距離を走るトレーニングです。一見ジョギングと間違えやすいので、違いについてしっかりと認識しておきましょう。効果としてはペース感覚の獲得、心肺機能やAT値の向上などが挙げられます。
距離は長くても20kmくらいまでに抑えるのが基本、高強度トレーニングにあたるため、ウォーミングアップ、クールダウンをしっかりすることでケガ予防にも努めましょう。
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