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トレランのヘッドライト(ヘッドランプ)の選び方とおすすめ『ルーメン戦争』には要注意

今回は『トレラン』におけるヘッドライトの選び方やオススメ商品について書いていきたいと思います。何を隠そう私は日本有数のヘッドライト好きなのです、トレラン用のヘッドライトに関しては、そのへんのトレランショップのスタッフよりかは理解しているつもりなので、さっそく解説させていただきたいと思います。

トレランでヘッドライト(ヘッドランプ)を準備する理由

トレラン(即ちトレイルランニング)でヘッドライトを準備する1番の理由は『安全の確保』です。皆さまにも知って欲しいのですが、トレランにおけるヘッドライトは、『暗くなってきた道を照らす道具』という認識に留まらず、『保安器具』と考えて欲しいのです。

安全を確保するための道具だから、選び方を間違えると生死に関する重大なトラブルを引き起こしますので、値段が安いからという理由で選ぶのだけはやめましょう。
『あなたの命の値段はそんなに安くありません』

これは非常に重要な考え方で、本当はいいなと思った商品を「予算にはまらない」という理由で選択肢から外してほしくはありません。とはいえ、予算があるのもわかりますので、ヘッドライトが予算にはまらない場合は、他の装備などで調整できるか検討してみて下さい。1度購入したら年単位で変更しない人が多いと思いますので、気に入った商品を選んでくださいね。と、言いつつも後半の商品紹介ではコスパ重視の商品案内を掲載しています。

それではなぜトレランでヘッドライトを準備しておいた方がいいのかを記載していきたいと思います。

1、トラブルにより日中に下山できない可能性を想定しておかなければならない

「トラブルを想定しておく」ことが安全管理の第一歩。山で遭難した経験を持つ人はそれほど多くないかもしれませんが、トレラン中に捻挫したり転倒したり、疲れてしばらく動けなくなってしまったりすることは珍しくありません。

もちろん行きなれている山域であれば、どうにかできる場合もあるでしょう。しかしながら「不測の事態」というのは、当然予想を上回る状況でありますから、どうにかできない場合を指します。
想定していた水場の水が枯れていた、開いているはずの山小屋が休みだった、想定外に気温が上がり脱水になった、予想を上回る気温の低下や嵐に見舞われ低体温になってしまった。どれも実際に起こりますし、1つくらいは経験したことがある人も多いと思います。

日中に下山できなくなってしまった場合、真っ暗闇の山道を下山しなければなりません。スマホのライトも使用できますが、連絡手段の確保のためスマホのバッテリーはなかなか使えないのが現実です。

以前とあるアドベンチャーレースに出場した際に、完全に地図がないと脱出できないような場所で、登山の格好ではない遭難した外国人カップルと出会ったことがあります。レース中だったため、帰れる道まで引き上げ、ヘッドライトを貸して「この道沿いに進めば帰れる」と案内したことがあります。関東の中でも有名な山で、連日多くの登山客が来る普通の山です。

道を外れてヘッドライトなしの遭難。そして12月、きっとあの時声をかけなかったら、低体温で動けなくなってしまったことでしょう。トレランに限らず登山においても必ずヘッドライトは準備しておかなければなりません。

2、レースで必携品として扱われ、ないと出場できないこともある

「必携品」だから準備をするという考えでなく、何かあった時のために自主的に準備することがおすすめなのですが、必携品だから買いに来ましたという声はショップをやっていて非常に耳にしました。

時間がかかってしまうと日没になってしまったり、スタートが朝早くて暗かったりと色々なパターンがありますが、どちらにおいてもレースの主催者が「準備してね」って言ったよねと、トラブル時に責任を逃れるための記載であることが多いです。
しかし、厳しい大会だと本当にスタート前にチェックされて、用意していないと参加させてもらえない大会もあります。必携品なので当たり前と言えば当たり前です、なので必ず自分の安全確保は自分で行っていきましょう。

登山用のヘッドライトで兼用できるか問題

トレイルオープンエアデモHPより(ちゃんぷ。さん)

登山用のヘッドライトをトレランでも使用したいという声も聞こえてきます。

結論から言うと、使えます。

ですが「快適か」と問われるとそうでないことが多いです。
と言うのも、以前のトレラン用のライトのスペックは、現在の登山用のライトのスペックよりも遥かに悪かったからです。そもそもルーメンなんて単位を使っていなかったと思います。

今では安いライトでも200ルーメンなんて当たり前にありますが、15年近く前の200ルーメンって超ハイスペックでした。パソコンで想像するとわかりやすいですが、当時と今では200GBと2TBくらいのスペックの違いがあるので、登山用のライトをトレランでも使うことは不可能ではありません。

店長

1度試してみるといいですよ

当時はトレランの100kmレースも75ルーメンくらいのスペックのライトで走ってましたから、不可能ではありません。でも、全然快適ではありませんので、もし登山用のライトを転用する場合、わかりやすく以下の基準で使用するといいと思います。

登山用のライトをトレランで使用する場合は、

1、行きなれていてコースが明確にわかる
2、1時間以内に下山できる場所である

くらいのイメージで使用した方が良いです。上級者であれば全然もっといけると思いますが、上級者は間違いなくトレラン用のヘッドライトはお持ちです。

メーカーの表記にだまされないで『ルーメン戦争の闇』

前提として、トレラン用のライトは『明るくて軽くてバッテリーが長持ち』することが想像させられると売れます。そしてそれに対する値段が安いとさらにコスパがいいと判断され、メーカー側からすると売りやすくなります。ユーザーに知識があれば良いのですが、まずほとんどの人にライトに関する知識がありません。

『600ルーメンで10時間持ちます』と言う表記があったとします。
これ、大体の場合は最初は600ルーメンで出力でき、好条件下で10時間後に60ルーメンを出力することができますという意味です。基本的に600ルーメンは最初の30分も持ちません。

え?嘘じゃん!と言う気持ちもわかりますが、アメリカのテスト機関の基準で、明るさの表記の1/10になるまでの時間を記載して良いことになっています。
なので、高出力の明るさが持続する時間よりも、1/10になるまでの時間を伸ばすことの方がメーカーにとって重要な内容になってきてしまいます。これを俗に『ルーメン戦争』と呼んだりしています。

少し前の話になってしまいますが具体例を挙げるのであれば、同じ最高出力「600ルーメン」でも、レッドレンザーのすごく売れていたNEO10Rと、ヘッドライトではありませんが、UltrAspireのウエストライトLumen600を比較してみます。
大前提としてレッドレンザーのNEO10Rは初心者の方には安くてそこそこ明るいので、購入しやすいという意味では非常に良い商品だと思っていますので、悪くいうつもりはありません。購入する側の情報量の問題について指摘したいと思います。また、その後にリリースされたモデルのNEO9Rではスペックの表記が見直されていたりもしますので、一例として受け止めておいてください。

店長

ちょっと情報古いですが(書き直してます)考え方が伝わると嬉しいです

さて、上記の2機種はどちらも18650と言う仕様のバッテリーで、UltrAspireは3400mAh、レッドレンザーは3200mAh(どちらもメーカー表記)のバッテリー容量があります。
ですが、Lumen600は600ルーメンで4時間、NEO10Rは600ルーメンで10時間と表記されています。この表記だけ見ると「NEO10Rすげー!」って思ってしまいますが、NEO10Rの600ルーメンの出力はすぐに終わります。徐々に明るさは落ちていきます。当たり前ですが、同等のバッテリーのため、10時間後に60ルーメンを出すために明るさを落とすしかありません。

これは何かというと、Lumen600は600ルーメンを4時間出力後、一気に明るさが暗くなるのに対し、NEO10Rは600ルーメンから早い段階で暗くなり、低い明るさを10時間後も出し続けられることを意味します。これはLumen600の方は明るさを一定に保つために電子制御が働いているのに対し、NEO10Rは明るさを一定に保つ電子制御は効いていません。なので、一見するとNEO10Rの方がスペックが高い上に値段もかなり安いと言う印象ですが、正直スペックが高いのはLumen600で、NEO10Rの価格が安いのは当たり前ということになります。知識がないとNEO10Rは安くて最高!と購入時に勘違いしてしまうわけです。それでもルーメン戦争には勝利できるわけで、それはそもそも商品のことをよく知らない消費者の問題でもあります。

ネット通販ならなおのこと勘違いしやすいですが、NEO10Rのぱっと見の表記は
600ルーメン、150先まで照射可能、120時間バッテリーと、購入ページのトップでは見える表記がされています。もちろんちゃんとスペックを見ると120時間はローモード(10ルーメン)と言う、誰もトレランでは使わない明るさをわざわざ表記を長く見せるために用意している場合があります。

と言うことが、『ルーメン戦争』ではしばしば行われており、いかに情報弱者を勘違いさせて他者との比較に勝つかが、メーカーにとって重要なことが多く、消費者は正しい情報を入れて比較できる目を持つことが重要です。
ただし、選んでもらわないことには、そもそもスタート地点に立てないというメーカーの立場もわかりますので、メーカーを悪くいうつもりは全くありません。私的には商品を見極めるお手伝いが少しでもできたら良いなと思っています。

多くのヘッドライトメーカーがレッドレンザーさんと同じような表記をしているので悪くいうつもりはありません、たまたま比較しやすかったのでUltrAspireさんと並べて表記させていただきました。そう思うと商品力がしっかりと伝わっているUltrAspireのLumen600は、わかる人にはちゃんと選ばれています。

結論、メーカーの表記を鵜呑みにしないでください。

そこで重要になってくるのがバッテリー性能です。

トレラン用ヘッドライトの選び方『チェックするべきポイント』

店長

さて、ここからはヘッドライトを購入するときにチェックするべき項目です。

1、バッテリー性能、バッテリー互換性

上述したように、同じレベルのバッテリーでも2.5倍の明るさが持ちますと記載するメーカー表記に、もう皆さんは惑わされないと思います。
明るさが同程度で持続時間が大きく違う商品で悩んだ時は、バッテリー性能『〇〇mAh』をチェックすれば、概ねどの程度の商品スペックかが見えてきます。ただし、PETZL社のリアクティブライティングモード搭載商品は特別なので後述します。

近場を1〜2時間トレランしたいというのであれば充電式のものさえ選べればOK、MAXで出力し続けない限り、基本バッテリーで困ることはあまりないでしょう。ただし寒冷地の場合は1500mAh程度以上の商品をお勧めします。寒冷地でない場合は、性能よりも価格や好きなブランド、軽さ、色など他のスペックで検討しても問題ないです。
ほとんど走らないのであれば乾電池タイプでも構いませんが、ちょくちょく行くのであれば充電式を選ぶということだけ間違い無ければOKです。詳しくは下述する『トレランでおすすめのヘッドライト』をご確認ください。

2時間以上山を走るのであれば、いよいよバッテリーについて本格的に検討しなければなりません。
いつか一晩以上のレースに出場するのであれば概ね2400mAh以上のバッテリーを装着できるヘッドライトを選ぶことをおすすめします。

また、コスパを気にする人であればバッテリーの互換性にも気をつけておきましょう。同じヘッドライトのバッテリーが他にも使い回せる商品があるので、バッテリーの統一感で商品を選ぶという選択肢が最近は比較的主流な考えにもなってきていると思います。

2、最低限の明るさの基準は200ルーメン

最近では200ルーメンは明るい部類ではなくなりました。道具の進化は止まりませんが、人間の進化はそれほど急速なものではありませんので、200ルーメン以上のヘッドライトを選ぶことができれば問題なく夜のトレランも走ることができます。

大会に出場したり、長時間走る方であれば、できれば最高出力が200ルーメンでバッテリーを激しく消費するモデルよりも、出力できる明るさはもう少し高く、ミドルモード(大体3段階の明るさ調整できるものが多いです)で150〜200ルーメン程度を確保できるとベターです。

というのは、トレランのレースではもっと明るいヘッドライトを装備している人がたくさんいます。後ろからとっても明るいライトを照らされると、自分の影が足元を暗くしてしまうことがあります。なのである程度の明るさを確保しなければ、自分の影を消すことができないからです。

3、軽さ

こちらも1〜2時間であればそれほど気にすることはありませんが、一晩走り続けるという方は、バッテリーの重さ込みで200g以下のものを選んでください。

ヘッドライトが重たいと肩や首にも負担がかかります。最近の商品で200g以上のものを選ぶのは難しいところですが、長時間明るさを保てる上に以上に軽いPETZL社のSWIFT RLなどバッテリー込みで100gという驚異的な軽さの商品も存在します。1つの選ぶ基準に軽さも付け加えてみてください。

4、装着方法、操作性

装着方法は基本的に頭の上から被るように取り付けるのはほぼほぼ共通なのですが、近年milestone社(日本)がリリースしている『クリップ式』はヘッドライトをトレランザックなどのチェストハーネスや帽子に取り付けることも可能です。

また汗を吸いやすいと臭くなってしまうということで、汗を吸いにくい素材のヘッドバンドがあったりなど、ヘッドバンドに対するこだわりも各メーカーの特色と言えるでしょう。さらに細かいことを言うと、バッテリー交換の時間を短縮したい方などの場合においては、バッテリーの交換のしやすさとヘッドバンドの関係も重要なポイントの1つです。

操作性という点では、『高機能よりも使いやすさ』の方が重視される傾向にあります。というのも、スマホと連動してバッテリーの制御をかけられるPETZLのNAO+やリアクティックプラスなどの商品がリリースされましたが、最新モデルではスマホとの連動をなくし、よりシンプルに使える方向に舵を切っています。
他にも、『今どのモードでライトがついているか』不明になってしまわないように(長時間のレースだとバッテリーをどのくらい残していくかは重要)、1度ライトをオフにすると再点灯時に必ずミドルモードで点灯するなど工夫されているメーカーもあります。ユーザーの声をよく反映したものづくりで素敵ですね。

5、その他の要素(ブランドの特徴含む)

その他の要素としては、ライトの拡散性、ライトの光の色、光の調節方法、など特徴のあるヘッドライトブランドがあるので簡単にご紹介したいと思います。

ヘッドライトの拡散性

ヘッドライトの中には光をスポットにして遠くを見ることに長けたライトと、近くを幅広く照らすことに長けた拡散性のライト、スポットライトを拡散性の光の両方を出すライトなど、さまざまな種類があります。

スポットライトは、例えばトレイルランニングのレースに出た時などに、遠くのマーキングを探したりするときに重宝しますが、逆に近くの足元を見るためには拡散性のライトと比べると首を深く曲げる必要があったりします。まずは1つ選んでみないと特徴もわからないと思うので、まずは気にせず使ってみましょう。

ヘッドライトの色

ヘッドライトの色には、主に白色と電球色の2パターンがあります。緊急信号用の赤も点灯できるものもありますが、基本的に使用するのは2種類のどちらかです。

電球色の灯りを出してくれるのはmilestoneというブランドの機種になりますが、これはなかなか優れもので、上述した『ルーメン戦争』という明るさ至上主義のトレランヘッドライトに、電球色の優しい灯りは目に優しく、目が疲れにくい感覚があります。選ぶときの選択肢としてチェックしておくといいと思います。特に女性の方の声で電球色の灯りは安心感があるとの声も上がります。

milestoneの電球色の灯り

他のブランドが電球色のチップを採用していないのは、電球色の方がバッテリーの消耗が早いと言うデータからだそうです。後に出てくるmilestone社のMS-G3(メインが白色420ルーメン)とMS-G4(メインが電球色380ルーメン)を比較すると、電球色のバッテリーの消耗を考慮した作りであることがスペックの表記でも伝わってきますね。

光の調節方法

光の調節方法は、基本的にボタンを押せば段階的に明るさが変わるのは概ね共通ですが、PETZLのヘッドライトの中には自動で灯りを調節してくれるリアクティブライティングモードという優れた機能があります。例えば月明かりが非常に明るく照らされていれば灯りをセーブしたり、周りのランナーの灯りにも反応してバッテリーをセーブすることができます。

他のヘッドライトメーカーと比べるとバッテリー容量に対して電池が長持ちするのが特徴です。デメリットとしては、光が乱反射してしまう霧の時には高出力を持続してしまうので、霧が出ている時はリアクティブライティングモードをからノーマルモードにしておく必要があるなど、使いこなせる人にとっては非常に便利な機能ですが、難しいことはわからないという方や初心者は選ばない方がいいかもしれません。

長時間行動する人はメインライトとサブライトを準備する

長時間行動に限った話ではありませんが、エスケープ(どこかに下山)するまでに1時間以上の時間を要してしまうような行動をする場合、メインライトの他にサブライトを用意しましょう。
レースじゃなければ、予備のスマホのバッテリーがあればスマホもサブライト代わりにできます。

というのは、メインライトをどんなに点検してから使用したとしても、途中で不具合が起こらないとは限りません。一晩を超えるレースでは、必携品としてヘッドライトは2つ用意することが指定されていることがほとんどです。山で自分の身を守るのは自分であるという大前提、ヘッドライトはメインライトの他にサブライトも準備するようにしていきましょう。

ウエストライトという選択肢を組み合わせると幅が広がる

トレランではウエストライトという選択肢を増やしてあげると、組み合わせの幅が広がります。
ウエストライトのメリットは、首を曲げなくても足元が常に明るいため、姿勢が高く保ちやすくランニングフォームを崩しにくいです。日中に走っている時の感覚とまでは言いませんが、首や目が疲れにくく、パフォーマンスも落としにくいというメリットがあります。また、霧がでやすい環境などでは、目の前が乱反射しにくいので、とっても有効です。

デメリットとしては、拡散性で足元を照らすのに長けているけれど、つづら折りになっているような道では、首の動きよりも腰の動きが遅れるため、ヘッドライトがないと視界が悪くなってしまったり、階段のように大きく足を上げるときなどには影ができてしまったりする場合があります。
ヘッドライトの補助として取り入れるのであれば全く問題ありませんが、ウエストライトだけで走るのはやや心細いというのが現状です。

発売されている専用のウエストライトは、基本的にメインライトと言えるほどスペックも高めなのでウエストライトをメインに、サブライトをヘッドライトにすることもできます。ヘッドライトをメインにする場合は、長時間レースの場合180g前後になることが多いため、ヘッドライトをサブライトくらいのスペックに落として軽量化を図ることが可能となります。

トレランでおすすめのヘッドライト

さて、ここまで細かく解説してきましたが、「で、実際どれがおすすめなの?」という方のために以下記載していきたいと思います。とは言っても、選ぶ方の状況などが細かく違うので一概には言えません。参考程度にお聞きください。

1、ライトユーザーの場合(サブライトとしてもOK)

ここでの定義としては1〜2時間走ることができるヘッドライトとさせていただきます。

超軽量&内臓バッテリータイプ(これらはサブライトにもOK)

1番のおすすめはmilestone社のMS-G4です。
電球色のスポットタイプ、無段階調整の明るさ切り替えができます。また超ベルト・バッテリー重量込みで48g、帽子のツバなどにも取り付けても揺れにくいのが特徴です。MS-G3 も同じくらいおすすめです。MAXで出力すると約2時間ですが、このルーメン戦争の中『軽量』『装着』『コスパ』のバランスが絶妙で見事に差別化され選ばれ続けている名作。私個人としてはmilestone社の代名詞と言われる電球色の灯りが好きなので電球色をメインとしたG4を1番にさせていただきました。

続いて紹介するPETZLのビンディもバッテリー内臓で35gと超軽量な部類。

この2種類を押さえておけばOKでしょう。
ビンディの1番の特徴は35gという軽さと約2時間の照射、PETZL社の持ち味でもあるヘッドバンドの秀逸さ。疎水性で水を含みにくい繊維(汗をかいても重くなりにくい)と軽さ、走りながらでも細かい調整が可能、走ってる最中に頭の締め付けがキツくなることってありますから、すごく良くできているなと思います。

1つ買っておけば間違いないヘッドランプ

MS-i1は、milestoneのベストセラー商品で、MAX1000ルーメン
大事なのは3400mAhのバッテリーを搭載しながらも税込12,980円と同程度の機種の中でも最もコスパに優れている機種と言えるでしょう。電球色と白色のMIX、付属のバッテリーからスマホの充電ができるなどの汎用性含め、一晩超えるようなレースに出られる方のメインライトの決定版。

また、PAAGO WORKSと共同開発されたウエストベルトへのアタッチメントRUSH LIGHTと組み合わせられたMS-i1+RUSH Lightは、ウエストベルトの決定版であったUltrAspireのLumen600 3.0(今は4.0)をコスパで上回り、確実にユーザーを増やしています。

汎用性は大切な考え方

2014年頃から急速にユーザーを獲得していったLEDLENSER社。
ヘッドランプのスペックを語る上で外せないバッテリーを、互換性の高い『18650』を採用することでバッテリーが安価に手に入る(公式サイトで買おうとすると当時は6000円くらいめちゃくちゃ高かったけど)上に、本体の価格が他社を圧倒し、トレランのヘッドランプは一時レッドレンザーだらけになるくらい業界を席巻しました。
予備バッテリーをAmazonとかで買えばとにかくコスパがいい。そんな位置付けだったと思います。そしてUltrAspireのLumen600と組み合わせることで最高のコスパバランスが完成していました。(UltrAspireでバッテリー買うと2,000円弱でした)

しかしmilestone社が発売したMS-i1シリーズが出たことと、2022年に発売されたNEO9Rの発売とともにLEDLENSER社のバッテリーが18650から独自のオリジナルバッテリーに切り替わっていったことを機にユーザーを一気に失っていきます。milestone社がPAAGO WORKSと開発したウエストライトでmilestoneのバッテリー1つでヘッドランプ・ウエストライトの双方に使え、かつスマホの充電にも使えるとなればもうmilestone一択という構図が完成してしまいます。

milestone社のヘッドライトはルーメン戦争というコスパ競争に見事に勝ち残ったという印象です。その裏側にはLEDLENSER社の独自路線による衰退も大きく影響しています。しかしこれは日本に限った話。Black DiamondにしてもPETZLにしても世界的なシェアを争うブランドからすると、独自のバッテリーを売ることは必要な考え方です。Apple社のLightningケーブルのようなものだと考えればわかりやすいでしょう。

1つで解決するヘッドライト

NAO RL PETZL

トレランのヘッドライトのモデルで最もハイエンドなモデルがこのNAO RL
RLはリアクティブライティングの意味で(右・左じゃありませんよ)周りの明るさをセンサーが感知し、自動で明るさをコントロールすることでバッテリーの消費を抑え、長持ちさせてくれる優れもの。この技術が凄すぎて私はPETZLのファンになりました。(もちろん他のブランドも好きです)

値段は高いけれど重さ・バッテリーの持ちなどは特筆すべきパフォーマンスです。そんなに使用頻度が高くない一般庶民にはオーバースペックかもしれませんが、ある程度つきつめてスポーツを楽しんでいる方やアスリートの方が選ぶには十分な理由がたくさん詰まっています。

汎用性の足りないPETZLのもどかしさ

正直な話、PETZL社が本気を出せば市場は一変すると思います。これらのルーメン戦争・コスパのお話は日本国内の話で、世界規模で市場をいているPETZL社からすると耳にも届かないレベルの話だと思います。が、国内に向けてかいているブログなので国内向けにPETZLのもどかしさについては書いていきたいと思います。

まずバッテリーが1つ1つの上位モデルに対し1つ1つ専用バッテリーになっているため買い換えるのに苦労します。買い替えの時は予備バッテリーも全部買い替えないといけないので、SWIFTで25,000円オーバー、NAO RLになると38,000円くらいの出費を覚悟しなければなりません。毎日使用する方で光量もそれなりにないといけないユーザーやトップアスリートならともかく・・と思ってしまう日本人は多いことでしょう。汎用性のあるバッテリーCOREを使用できるモデルで使おうとしても、1250mAhと一晩超えるには心許ないバッテリー容量となってしまいます。

ヘッドランプの技術や販路などは恐らく世界トップクラスのPETZLがmilestoneくらいのバランス感覚で商品を作ったら、市場は一変してしまうことでしょう。恐らく日本の小さい小さいマーケットでかつその中のトレイルランニングという狭い狭い分野に注力することは考えられませんが、PETZLの技術のファンとしてはもどかしい気持ちでいっぱいです。

メーカー担当者に何度か伝えたこともありますが、私以上にもどかしさを感じているのはまさにメーカーの営業さんでしょう。

まとめ

ここまで読んできていただいたということは、トレラン用のヘッドライトについてより詳しくなったのではないでしょうか。『ルーメン戦争』なんて知らなかったという人が殆どだと思いますが、知識を持ってヘッドライトを選べるようになったら嬉しいなと思います。

それにしてもmilestoneがLEDLENSERの日本市場での方針転換を機に、上昇気流に乗り続けているなと感じます。PETZLやBlack Diamondも好きなブランドなだけにもう少し光が当たるアップデートや汎用性が見られると国内の市場が変わる気がします。

そしてヘッドライトのモデルチェンジや進化は止まらないので、これらもすぐに古い情報になってしまうかもしれません。細かい製品のスペックよりも、大まかに検討するべきポイントや自分が選ぶ上で不都合に感じていること、こういうのないの?ということについて周りの詳しい人に聞いてみてください。選ぶ基準はルーメンの表記と値段だけを見るのではなく、メーカー各社のこだわりについてもぜひ検討してみてください。

馬場 保孝

馬場 保孝

ディレクター、音響運営なんでもお任せください。 イベントの便利屋さんです。最近WEBも頑張ってます。

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